胃下垂の人は、周囲から「太らないから羨ましいなぁ」といつも言われて、うんざりしていませんか?胃下垂は確かに太りにくいですが、胃下垂だからこそつらいこともたくさんありますよね。
胃下垂は病気というわけではありませんが、いろいろな症状が出てくるので、胃下垂の人はできるだけ早く治すようにしましょう。胃下垂の原因や症状、治し方をまとめました。
胃下垂の4つの原因
胃下垂とは、胃が下に垂れ下がってしまった状態のことです。本来なら、胃はおへそよりも上に位置しているものですが、胃下垂の人は骨盤内まで胃が垂れ下がっています。
胃下垂の定義は、胃角と呼ばれる部分が、両側腸骨稜を結んだ線(ヤコビー線)よりも下に下がっていることです。
出典:kib.or.jp
では、胃下垂になってしまう原因は何でしょうか?なぜ胃が垂れ下がってしまうのでしょう?
お腹の脂肪や筋肉が少ない
胃下垂の原因の1つ目は、お腹の脂肪や筋肉が少ないことです。胃下垂は痩せている女性に多いという特徴があります。
痩せている女性はお腹の脂肪や筋肉が少ないですよね。胃が本来の位置にあるのは、お腹の筋肉や脂肪が胃を支えているからです。
痩せている女性は、胃を支えるものがないので、胃がダランと垂れ下がってしまうんですね。
胃下垂になると痩せると言われているのは、一種の誤解です。胃下垂になると痩せるのではなく、痩せているから胃下垂になるんです。
ストレス
胃下垂の原因の2つ目は、ストレスです。ストレスを感じると、交感神経が優位になりますので、胃腸の働きが悪くなります。
ストレスに対抗するためには、食べ物の消化に体のエネルギーを使っているわけにはいかないからですね。
胃腸の動きを抑えて、そのエネルギーをストレスに打ち勝つために使おうとするんです。
胃腸の働きが悪くなると、食後はいつまでも胃の中に食べ物が残ってしまいます。そうすると、食べ物の重みで、胃がダラ~ンと下に垂れ下がってしまうのです。
ストレスをため込んでいる人は胃下垂になりやすいんですね。
出産
胃下垂の原因の3つ目は、出産です。出産後に胃下垂になったという女性は意外と多いんです。妊娠中はどんどん子宮が大きくなりますよね。それにつれて、お腹の筋肉も伸びていきます。
そして、無事に出産が終わると、赤ちゃんや羊水、胎盤が出たので、ママのお腹はへこみます。さらに、子宮も小さくなります。
そうすると、頑張って伸びていたお腹の筋肉は、ダルダルの状態になってしまって、本来なら胃を支えるはずなのに、ダルダル&ゆるゆるの状態になりますので、胃を支えられずに胃下垂になってしまうんですね。
暴飲暴食の繰り返し
暴飲暴食を繰り返していることも、胃下垂の原因です。食べたいものを食べたいだけ食べている人、満腹でもさらに食べる人、胃が疲れているのにそんなの無視して食べている人は、胃下垂になる可能性があります。
暴飲暴食を繰り返していると、胃が疲れてしまうので、胃の動きが悪くなって、胃に常に食べ物がある状態になります。そうすると、ストレスを感じている時のように胃に常に食べ物が残っている状態になりますので、胃下垂になってしまうのです。
胃下垂の5つの症状
胃下垂の人は太らないから良いなぁと思っている人も多いかもしれませんが、今からご紹介する胃下垂の症状を見ると、そんな考えはなくなると思います。
胃下垂になると、様々な症状が現れるのです。
便秘
胃下垂の症状の1つ目は、便秘です。胃下垂の人は、胃が垂れ下がっているわけですから、胃が腸を上から圧迫していることになります。
腸が圧迫されれば、腸の動きは悪くなりますよね。また、胃下垂の人はお腹の筋肉量が少ないので、腸を動かす力も弱いので、便が腸を移動することができず、便秘になってしまうのです。
おなかポッコリ
胃下垂の症状の2つ目は、お腹がポッコリと出てしまうことです。胃下垂の人は、食後に下腹部がポッコリと出てしまうことが多いんです。
胃下垂の人は、本来なら腸や骨盤内臓器がある部分に、無理やり胃が押し込まれているようなものですので、ギュウギュウになっています。
そんな状態で、食事をして胃が膨らむと、下腹部がポッコリと出てしまうんです。胃下垂の人は、お腹がポッコリと出てしまうため、食後に前かがみになるのが辛いという人も珍しくありません。
胃もたれ、腹部膨満感
胃下垂の症状には、胃もたれや腹部膨満感があります。胃下垂の人は、胃の動きが悪く、常に胃の中に食べ物があるような状態ですので、食後は胃もたれや腹部膨満感などの症状が出てきます。
また、胃もたれや腹部膨満感に関連して、吐き気や食欲不振などの症状も現れやすくなるんです。
胸やけや胃痛
胸やけや胃痛も胃下垂の症状の1つです。胃の中にずっと食べ物が残っていると、胃は早く食べ物を消化させようとして、胃酸をドンドン分泌させます。
そうすると、胃酸過多になりますので、胸やけが起こったり、胃痛が起こることがあるのです。
また、胃酸の分泌過多が続くと、胃が荒れてしましますので、胃炎や胃潰瘍などを引き起こすこともあります。
その他の全身症状
胃下垂の人は、そのほかの全身症状を引き起こすことがありますので注意が必要です。胃下垂の人は、胃が下に垂れ下がっていて、本来ある位置よりも体の表面に近い部分にあることが多いので、胃が冷えやすく、そこから冷え性になることがあります。
また、胃が適正な位置にないために、血行が悪くなって、肩こりや頭痛などの症状が現れることがあります。
胃下垂の9つの治し方
胃下垂は病気というわけではありません。でも、先ほど説明したようないろいろな症状が現れますので、その症状を抑えて、早めに治すようにしましょう。胃下垂の治し方を9つご紹介します。
薬物療法
胃下垂の治し方の1つ目は、薬物療法です。胃下垂になると、胃もたれや胸やけなどの症状が現れます。その症状を、薬を服用することで改善するのです。
胃酸過多で胸やけや胃痛の症状がある人には制酸剤を、胃もたれかや吐き気がある人は制吐剤を処方すると、胃下垂の症状は改善します。
さらに、ストレスなどから胃下垂になっている人は、自律神経調整剤や抗不安薬などを処方すると、胃下垂の症状が治ることがあります。
食事回数を増やす
胃下垂の治し方の2つ目は、食事回数を増やすことです。胃下垂の人は、胃の動きが悪くて、なかなか思うように消化できないので、一気にたくさん食べてしまうと、胃に負担をかけてしまい、消化器症状がどんどん現れるようになります。
そのため、1回の食事量を減らして、食事回数を増やすようにしましょう。1日3食食べていたところを、1日のトータルの食事量は変えずに、1日4~5回に分けて食べるようにすると良いでしょう。
よく噛んで食べる
胃下垂の治し方の3つ目は、よく噛んで食べることです。よく噛んで食べることで、消化を促進することができます。
消化を促進することができれば、胃下垂自体を治すことはできなくても、胃下垂の症状を改善することはできます。
1口20回、できれば1口30回は噛むようにして、食事を摂ると、胃下垂の症状が落ち着いて、食後の不快感が少なくなると思います。
インナーマッスルを鍛える
胃下垂の治し方、次はインナーマッスルを鍛えましょう。胃下垂の人はお腹の筋肉量が少ないため、胃を支えることができずに垂れ下がってしまうのですから、インナーマッスルを鍛えて、胃下垂を治しましょう。
インナーマッスルを鍛えるためには、次のようなエクササイズを行いましょう。
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=4xebUPlfMo0]
<インナーマッスルの鍛え方①>
1.うつ伏せになる
2.腕はまっすぐ伸ばして体の横につけ、拳を握る
3.両手の親指を上に向けて立てる
4.上半身を起こして5秒間キープ
5.これを3回繰り返す
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=_ONXEWts_4o]
こちらはやや上級者向けのインナーマッスルのエクササイズになります。
<インナーマッスルの鍛え方>
1.肘を90°に曲げて、体を水平にする
2.肩が出ないように気を付けながら、腰を上下させる
3.腰をゆっくりひねる
4.上半身は動かさず、脚をゆっくり外側に曲げる
5.上半身は動かさずに、脚を内側にクロスさせるように曲げる
6.最後は、1の姿勢で5秒間キープ
これを無理のない範囲で行うことで、胃下垂を治すことができるでしょう。胃下垂の人は、インナーマッスルの筋力がないので、最初はエクササイズがきついとは思いますが、無理せずに少しずつ鍛えていきましょう。
食後は姿勢に気を付ける
胃下垂を治すためには、食後の姿勢に気を付けましょう。胃下垂の人は、胃に食物がずっと残ったままになりやすいですよね。
そのため、食後に胃の中に食べ物が停滞しやすい姿勢でいると、胃下垂の症状が悪化しやすいので、注意が必要です。
胃の中に食べ物が残りにくい姿勢とは、右側を下にして寝ることです。右側を下にして寝ると、胃の膨らんだ部分に食べ物が溜まらずに、そのまま十二指腸に流れていきやすいのです。
忙しい人は、食後に必ず横になれる環境ではないと思いますが、できる限り右を下にして横になるようにすると、胃下垂の症状が少なくなると思います。
規則正しい生活を送る
胃下垂の治し方、次は規則正しい生活を送ることです。規則正しい生活を送ることで、自律神経のバランスを整えることができますので、胃の動きが活発になり、胃下垂を治すことができます。
・夜更かしをしない
・質の高い睡眠をとる
・栄養のバランスの取れた食事を食べる
・ゆっくり入浴する
このような生活を送っていると、胃の動きが活発になって、胃の中に食べ物が長時間とどまらず、胃の重みがなくなって、胃が元の位置に戻りやすくなります。
ストレスをため込まない
胃下垂を治すためには、ストレスをため込まないようにしましょう。ストレスをため込むと、交感神経が優位になりますので、胃腸の動きが悪くなります。
ストレスはこまめに発散するようにして、胃腸の動きを良くすることで、胃下垂を治すようにしましょう。
ストレスの発散方法はなんでもOKですが、ストレス発散のために暴飲暴食をすると、胃下垂が悪化しますので、暴飲暴食以外の健康的な方法で、ストレスを発散させてくださいね。
漢方薬を使ってみる
胃下垂の治し方8つ目は、漢方薬を使うことです。漢方薬を使って、体質改善をすると、胃腸の動きが良くなって、胃下垂が治りやすくなります。
胃下垂に効果のある漢方薬は次のようなものです。
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
・半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
漢方薬は薬局で購入できます。薬剤師さんに症状を伝えて、どの漢方薬が合うのかを相談しながら、漢方薬を選ぶと良いでしょう。
整体で骨盤矯正をする
整体で骨盤を矯正するのも、胃下垂の治し方の1つです。胃下垂の人は骨盤が歪んでいることが多いんです。骨盤が歪んでいるために、胃が本来の場所から垂れ下がってきて、戻れなくなってしまったという可能性があります。
そのため、まずは体の歪みを整体で治すと、胃下垂が治りやすくなります。胃下垂に悩んでいる人は、一度整体に行ってみてはいかがでしょうか?
胃下垂の原因・症状・治し方についてのまとめ
「お腹の脂肪や筋肉が少ない」「ストレス」「出産」「暴飲暴食の繰り返し」
・胃下垂の症状
「便秘」「お腹ポッコリ」「胃もたれ・腹部膨満感」「胸焼けや胃痛」「その他の全身症状」
・胃下垂の治し方
「薬物療法」「食事回数を増やす」「よく噛んで食べる」「インナーマッスルを鍛える」「食後は姿勢に気をつける」「ストレスを溜め込まない」「漢方薬を使ってみる」「整体で骨盤矯正をする」
胃下垂の原因と症状、治し方をまとめました。胃下垂の人は太りにくくて羨ましいと言われていますが、いろいろな症状が出てきてますので、ご紹介した治し方を実践して、早めに治すようにしましょう!