メタボ診断などで意識される機会も増えた内臓脂肪。なんとなく、体に悪いことはわかっているけれど、実際にどういうものなのかはよくわかっていない。そんな方も多いかもしれません。
内臓脂肪は確かに悪者ですが、実は落としやすくて扱いやすい脂肪でもあります。なかなか知らない内臓脂肪について、気になるところをまとめてみました。
内臓脂肪とは
出典:http://dietbook.biz
内臓脂肪はその名の通り、内臓の近くにつく脂肪のことです。厳密に言うと、お腹の腹筋の内側、内臓を支える筋肉や脂肪がついている場所にある脂肪のことです。
顔や足などにつく、いわゆる皮下脂肪と同じ脂肪には変わりありませんが、ついている場所が違うので名前が違うようになっています。
内臓脂肪がたまる原因は、皮下脂肪と同じく過食や運動不足によるエネルギーの蓄積です。ただ、内臓脂肪は男性ホルモンによって蓄積されるものなので、女性と男性が同じように過食していても男性は内臓脂肪の方がどんどんついていってしまうことになるのです。
内臓脂肪が体に及ぼす影響
肥満は確かに体に悪いものですが、実は皮下脂肪だけなら多少ついていても体に悪影響は少ないことがわかっています。内臓脂肪も同じく、数年前まではエネルギーを貯蔵しているだけで何も悪いことはないと考えられていました。
でも、研究が進み、内臓脂肪には「生活活性物質」というものが分泌されることがわかってきました。しかも内臓脂肪は生活習慣病へ進めてしまう物質ばかりが分泌してしまうようなのです。分泌される生活活性物質は具体的にこんなものがあります。
●TNF‐α……インスリンの働きを妨げ、血糖値を上げる。
●アンジオテンシノーゲン……血圧を上げる。
●PAI‐1……血栓(血液の塊)をつくり、動脈硬化を促進する。
このおかげで、内臓脂肪が増えれば増えるほど、血糖値や血圧が上昇しやすくなり、血液もドロドロになって血管も傷んでゆき、結果的に糖尿病や高血圧症、脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病になる危険性が高まることになるのです。
内臓脂肪がつきやすくなる原因
内臓脂肪がつく理由は過食や運動不足であることは間違いありません。でも、女性よりも男性につきやすく、悪い条件に当てはまれば当てはまるほどつきやすくなるものです。
・ダイエットをやめて元の生活に戻している
・不規則な生活、バランスの悪い食事をしている
・まったく運動をしていない
皮下脂肪と違って、生活習慣によって肥満へ突き進んでしまうことが多いです。最近お腹周りが気になる…という場合は、生活習慣を見直してみる必要があるタイミングなのかもしれません。
内臓脂肪による肥満の基準
自分に内臓脂肪がどれくらいついているかを実際に知るには、CTスキャンなどで体の中をスキャンしてみないことには正確な数値はわかりません。でも、ある程度どのくらいついているか、自分の内臓脂肪が多すぎていないかを知ることはできます。
その方法が、健康診断の項目であるメタボ診断でも実施されている基準です。
・女性なら腹囲90cm以上
・男性なら腹囲85cm以上
自分の腹囲がこの大きさ以上になると、生活習慣病へのリスクがぐっと高まる内臓脂肪肥満の疑いが強まります。体重の重さはあまり関係ありません。それよりもこの腹囲に加えて血圧や血糖値がどれくらいかで内臓肥満かどうかを判定するのが一般的です。
お腹の肉での見分け方
今自分のお腹についている肉が内臓脂肪か皮下脂肪かなのを知る方法もあります。
その方法とは、お腹にグッと力を入れてお腹の肉をつまんでみることです。お腹に力を入れた状態でお腹の肉がつかめたら、それは皮下脂肪。皮しかつまめない、思ったよりつまめる量が少なかったという場合は内臓脂肪ということになります。
体重が軽くても内臓脂肪がたくさんついていることはありえます。時々はお腹の肉をつまんでみて、見た目だけでなく中身も問題ないかをセルフチェックしてみても良いでしょう。
特にお腹だけがボコンと出ているリンゴ体型になってきたという場合、内臓脂肪が多くなっていることが多いです。
内臓脂肪の落とし方3つ
病気のリスクが高まって、体への負担も大きな内臓脂肪ですが、悪いことばかりではありません。実は内臓脂肪は入れ替わりの激しい細胞なので、体全体につく脂肪である皮下脂肪よりもずっと落とすのが簡単です。
よく、「皮下脂肪は定期預金・内臓脂肪は普通預金」と言われます。これは内臓脂肪が普通預金並みに簡単に落とせることを表した言葉なのです。
有酸素運動を行う
内臓脂肪を落とす、1番簡単な方法は有酸素運動を行うことです。毎日コンスタントに有酸素運動を行うことで、エネルギーが消費され、内臓脂肪からどんどん使われていくようになります。
有酸素運動は体脂肪を直接エネルギーに使っていくので、とても効率が良いのです。毎日20分でも良いので歩いてみるなどの軽い運動を始めてみるだけでもかなり違ってくるでしょう。
食生活の改善
そもそもカロリーをとり過ぎていたら脂肪は減るどころかどんどん増えていってしまいます。とは言え、内臓脂肪を減らしたいからといって朝食を抜くなどの食べないダイエットをする必要はありません。
・必ず毎日3食食べること
・摂取カロリーを減らすプランを立てること
・野菜やたんぱく質などバランスよく食べること
できるだけ計画的に、お酒なども適度に楽しみながら、着実に毎日カロリーカットしていくことが理想です。運動も組み合わせながら健康的な生活習慣を目指していくのが大切です。
炭水化物を抜く食事法
男性の場合、一時ブームにもなった低炭水化物ダイエットも、内臓脂肪を減らすのにとても効率の良い方法です。男性は、血糖値が上がらないと内臓脂肪を栄養源にして血糖値を上げようとする働きがあるのです。
この働きをうまく活用するために炭水化物を抜くと、カロリーカットもできて内臓脂肪も勝手に消費されていくので、内臓脂肪を効率よく減らしていくことができるのです。
内臓脂肪を減らす方法・増える原因についてのまとめ
・内臓脂肪のメタボ基準は、腹囲で決まる。女性「腹囲90cm以上」男性「腹囲85cm以上」
・内臓脂肪を落とす方法
「有酸素運動をする」「野菜やタンパク質などのバランスの良い食生活に切り替える」「炭水化物を抜く食事方法でカロリーカット」
内臓脂肪はついてしまうと影響の大きな脂肪ですが、落とすのは簡単です。皮下脂肪と違ってかなり短期間で減らしていくことも可能です。生活習慣によって増え方も減り方も全然違います。
皮下脂肪は自分のスタイルが気になってしまうだけで済みますが、内臓脂肪の場合は病気へのリスクもグッと高まります。見た目でわかる不健康の指標でもあるのです。体重が大丈夫だという場合でも軽視せず、ぜひ軽い運動からはじめてみてください。