体脂肪率とは、人間の体にある脂肪の割合を示す数値です。
この記事では、体脂肪率とはそもそも何なのか、体脂肪率の計算方法、そして男性・女性別にみる平均値(標準・肥満・痩せ含)をまとめています。
この記事の目次
体脂肪率とは
まず体脂肪とは、中性脂肪を始めとする脂質がその正体になります。
中性脂肪などの単純脂質、リン脂質やリポたんぱく質などの複合脂質、脂肪酸やコレステロールなどを含むステロイドなどの誘導脂質に大きく分けられます。
食物から体内に取り入れた脂質は、主に小腸で消化されます。脂質の種類ごとに複雑な過程を経て取り込まれ、効率の良いエネルギー源として使われるほか、各種生理活性物質の原料となるなどさまざまな役割を果たしています。
余った脂質は、中性脂肪として体内に蓄えられますが、多く摂り過ぎれば肥満を招き、生活習慣病の原因となります。
体脂肪は人間の体に存在する脂肪をいい、その重量の割合を体脂肪率で表せます。
そもそも脂肪とは炭水化物やタンパク質に並ぶ三大栄養素の一つで、人間のエネルギー源としての役割を果たしています。
古来からの人間の営みの中で、飢えや寒さに苦悩してきた時代に重要な役割を果たしてきた体脂肪ですが、飽食状態にある現代ではこの体脂肪を蓄えすぎる傾向があり、いわゆる肥満を招くことでも知られています。
ではどのぐらいが体脂肪を蓄えていたら肥満になるのかというと、以下の通りです。
体脂肪率は男性で15~20%女性で20~25%が「普通」、男性で25%以上女性で30%以上が「肥満」と判定されます。
男性と女性では体の構造に違いがありますので、体脂肪率的には女性の方がやや多めが「普通」とされているようです。
体脂肪率は病気とは無関係?内臓脂肪と皮下脂肪について
体脂肪率は、内臓脂肪・皮下脂肪などの割合を示しています。どちらも脂肪ということでつきすぎるといろいろと体に害も及びそうですね。
ただ実際には、体脂肪率は病気とイコール関係ではないと考えられています。それは、体脂肪率がこの二つの脂肪を同時に測定しているものだからです。
体脂肪率と健康障害には明確な相関が認められませんが、これは体脂肪率が内臓脂肪だけでなく皮下脂肪を含む体脂肪の量を反映しているためです。すなわち内臓脂肪の蓄積にほぼ比例する腹囲が基準値を超えれば生活習慣病のリスクが高まりますが、体脂肪率が高くてもそのリスクが高いとはいえないのです。こうした理由からメタボリックシンドロームの診断基準にも体脂肪率は採用されていません。
なんとなく内臓脂肪=害というところがわかりましたが、 実際にこの二つの脂肪が果たす役割・害についてご紹介します。
内臓脂肪の正体
内臓脂肪とは……。
内臓脂肪とは名前の通りに内臓の周りにつき、大事な内臓器官を衝撃から守るためのクッション的役割を果たしたり、位置を正しく保たせたりするものです。
内臓脂肪は、男性ホルモンの関係で筋肉がつきやすい男性に蓄えられる傾向(内臓脂肪を筋肉のエネルギー源として利用するため)があると言われています。
しかし内臓脂肪はつきすぎてしまうと高血圧、糖尿病、脂質異常などの生活習慣病を引き起こします。
男性ではウエスト85cm、女性では90センチ以上の場合には、この内臓脂肪がつきすぎ(つまりメタボリックシンドローム)の可能性が指摘されていますので、そういった場合に内臓脂肪対策が必要です。
内臓脂肪型肥満の時には、それがつきやすい場所(内臓周辺=腹回り)からリンゴ型肥満と呼ばれることも。
皮下脂肪の正体
皮下脂肪とは……。
皮下脂肪は皮膚の下にある脂肪で、万が一の時のためにエネルギーを貯蔵し、体を保温する効果もあります。主にお尻や太ももにつきやすく、妊娠・出産・授乳時の大事な蓄えでもあり、女性につきやすい脂肪であるとされています。
内臓脂肪と違い、病気との因果関係がないとみられていますが、皮下脂肪は一回ついてしまうと分解されにくく落としづらいものです。また皮下脂肪がつきすぎてしまうと、その重さから膝などへの負担になりますので、つき過ぎると良くないものであることに変わりありません。
皮下脂肪型肥満の時には、それがつきやすい場所(尻・太もも)から洋ナシ型肥満と呼ばれることも。
体脂肪率の計算方法
体脂肪の重さがわかっている場合には、以下のような計算式で体脂肪率を出すことができます。
・体脂肪の重さ÷体重×100
ただこの体脂肪の重さを測るのがそもそも困難です。
つまり最初に言ってしまうと、体脂肪率は正確な数値を測ることが難しいとされています。しかし体脂肪率の計算方法はいくつ発見されていますので、主なものをご紹介します。
水中体重秤量法
水中体重秤量法
画像の通りですが、水中に全身を沈めその中にある体重計で測定。アルキメデスの法則で、水の中では体積分の浮力を受けるため、水中と外で測る時の体重を利用して身体の密度を求めます。そして、その身体密度から体脂肪率を求める方法となります。
正確な数値を求められるとされていますが、画像のような水中体重秤量法の設備がないといけないため気軽にはできません。また体内に入った空気を除外するために、検査時には息を吐ききって行わなければならないという難点も。
空気置換法
空気置換法
密閉できる専用装置に入り、その中の空気圧力を調整することによって、身体密度を計測する方法です。水中体重秤量法と同様に正確な数値を測ることで知られていますが、特に息を吐き切らなければいけないといった制約もありません。
ただやはり専用の装置がなければいけないので、気軽に行うのは難しいですね。大相撲の力士などが体脂肪率を測定するときによく使われる装置です。
二重エネルギーX線吸収法
二重エネルギーX線吸収法
二つのX線を身体に照射し、身体組成を測る方法です。基本的には骨密度を測るための方法ですが、体脂肪率や筋肉などの測定も可能でわりとメジャーだとか。
皮下脂肪厚法
皮下脂肪厚法
皮下脂肪厚法は、キャリバー法と呼ばれることもあります。主に上腕後部、へそ横、肩甲骨下などの部位をキャリバーという皮下脂肪厚計を用いてつまみあげて測ります。それによって測定された皮下脂肪厚を、骨密度の推定式に当てはめて算出する方法です。
ただ皮下脂肪のみで内臓脂肪が測定できない、使用される推定式が年代などによって分別されるものではなく、時と場合によって誤差が生じやすいという問題点があります。
生体インピーダンス法
生体インピーダンス法
身体に微弱電流を流して、その反応からひとの電気インピーダンスを測り、体脂肪率を算出する方法です。よくある体組成計なども、この生体インピーダンス法が利用されていますので、今もっともメジャーな方法と言えるかもしれませんね。
しかし、そもそも生体の電気インピーダンスには時間帯によって変動があり、心臓のペースメーカーがついている場合には誤作動の危険性もあるといった問題点があります。
体脂肪率測定は、体組成計がおすすめ
お手軽で毎日測れる体脂肪計。
体脂肪率を日常的に測定したい時には、タニタやオムロンなどのヘルスケアメーカーから出ている体組成計が手軽でおすすめです。(体脂肪計でもいいと思いますが、BMI・内臓脂肪レベル・基礎代謝量等もはかってくれる体組成計の方がお得感あり)
しかし、体組成計には問題点がいくつかあることも否定できません。
〜体組成計の主な問題点〜
・時間帯による生体電気インピーダンスの変動
・心臓ペースメーカーへの影響
・むくんでいる時、筋肉質な時には誤差が生じやすい
・メーカーによって測定基準が異なり、機能もさまざま
等々
以上のように、いろいろと問題があるようにも思える生体インピーダンス法を用いた体組成計ですが、そのほかの体脂肪率測定方法はすでにご紹介した通りで、体組成計の利便性に勝るものはありません。
測定時間に注意しつつ、あとは目安程度に考えながら体組成計を活用するのが良いでしょう。
体組成計の乗る時の注意点とは?
大事なのは、時間帯!
実際に行う時の注意点としては、まず計測時は「1日のこの時間!」といったように取り決めをして行うことが推奨されています。その上で、避けるべき時間帯は食事や入浴、運動後など、体温に変化が現れている時には体組成計の測定に影響を与えやすいとされています。
そのことからもヘルスケアメーカーの体組成計利用時の推奨時間帯をみてみると、だいたいが「食後・入浴等から2時間以上たった時間帯」をおすすめとしているようです。
また、毎日同じ時間帯に測ることが推奨されています。
そのほかにも、注意点をまとめると以下のようなことが言われています。
〜体組成計をはかる上での注意点〜
・足場はしっかりとしたところ(絨毯とかではなく硬い床推奨)
・排泄は済ませてから
・具合の悪い時はやめる(低体温・発熱時)
・むくんでいる時はやめる
男性・女性の体脂肪率の平均値(痩せすぎ・標準・肥満)
体脂肪の平均的な適正値はすでにご紹介していますが、もう少し男性・女性別に詳しく見てみると以下のように言われています。
男性の場合 30歳未満 14~20% 適正値 25%以上 肥満 30歳以上 17~23% 適正値 25%以上 肥満 女性の場合 30歳未満 17~24% 適正値 30%以上 肥満 30歳以上 20~27% 適正値 30%以上 肥満
注:上記の基準は東京慈恵医科大学で判定基準として使用されている値を基にしたものであり、世界的な基準ではない。世界共通の明確な基準は未だ決められていない。
引用:体脂肪 wiki
男性・女性の体脂肪率の平均は世界や国による体脂肪率の明確な統計がありませんが、以下のような見方もできるようです。(タニタHPより)
体脂肪率判定表
いずれも男性より女性が高め、若年よりも老年が高めという水準が設けられているようですね。
体脂肪率についてのまとめ
「体脂肪の重さ÷体重×100」「水中体重秤量法」「空気置換法」「二重エネルギーX線吸収法」「皮下脂肪厚法」「生体インピーダンス法」
・毎日手軽に測定するなら「体組成計」がおすすめ
・体組成計をはかる注意点
「食後や入浴後から2時間たった時間帯で測定する」「具合の悪い時はやめる」「むくんでいる時はやめる」
・男女の体脂肪平均値「女性が高めで若年者よりも老年が高めの傾向」
体脂肪率についてご紹介しましたが、いかがでしたか。
体脂肪はついていること自体悪いことではありませんし、エネルギー源のために補給されるべき物質です。しかし、それが「つく場所」や「度合い」などによって、体の健康障害を引き起こす可能性が指摘されています。
平均値を目安に体組成計などを活用しながら、ご自分の体脂肪率とうまく付き合ってください。