「胃下垂の人は太らない」、「胃下垂になれば痩せてダイエットできる!」と言われていますよね。実際に胃下垂の人は、痩せていることが多いので、ダイエットしたい女性の中には、胃下垂に憧れている人も多いのではないでしょうか?
胃下垂とはどんな状態か、胃下垂になると本当に太らないのか、胃下垂はダイエットに最適なのかについてまとめました。胃下垂って実はデメリットも多いんです。
胃下垂とはどんな状態?
「胃下垂の人はどんなに食べても太らない」、「胃下垂になれば痩せる」という言葉を聞いたことがあると思います。「胃下垂=痩せている」というイメージを持っている人が多いと思いますが、胃下垂とはどんな状態のことか知っていますか?
胃下垂とは胃が本来ある位置よりも下に垂れ下がってしまっている状態のことです。胃の中心部に近い場所に「胃角」と呼ばれる場所があります。胃角は小彎の幽門部付近にある部分のことですが、この胃角が両側腸骨稜を結んだ線(ヤコビー線)よりも下にある状態を胃下垂と言います。
出典:kib.or.jp
腸骨稜とは脚の付け根の上の部分にある出っ張った骨のことです。いわゆる「腰骨」と呼ばれるような部位ですね。
そこを結んだ線よりも胃角が下にあると、胃下垂と診断されます。胃下垂は特に病気というわけではありませんが、本来なら臍よりも胃角は上にあるのですが、胃下垂になると、胃が下に垂れ下がってしまい、胃の一部は骨盤の中にまで下がってしまうのです。この状態が胃下垂ですね。
胃下垂はダイエットいらず?太らないって本当?
「胃下垂になると、痩せることができる!」、「胃下垂になれば、どんなに食べても太らない。」と言われています。実際に、胃下垂の人は痩せている人が多いですよね。
胃下垂になれば、ダイエットが必要ないほど痩せていて、太らないというのは本当なのでしょうか?
実は、胃下垂になると太らないと言われていますが、「胃下垂だから痩せる」、「胃下垂だから太らない」という因果関係は、まだわかってはいません。つまり、「胃下垂=痩せる」と証明されたわけではないのです。
でも、胃下垂の人は太らない人が多いですよね。胃下垂の人に太らない人、痩せている人が多い理由は2つあると考えられています。
痩せ型の人が胃下垂になりやすい
胃下垂の人が痩せている理由の1つ目は、痩せ型の人が胃下垂になりやすいからです。つまり、胃下垂だから痩せているのではなく、痩せているから胃下垂になるんですね。「胃下垂→痩せている」ではなく、「痩せている→胃下垂」ということです。
胃下垂になる原因は脂肪や筋肉の量が少ないことです。胃が適切な位置にあるのは、その周辺の筋肉や脂肪が胃を支えているからです。おなかの脂肪や筋肉がしっかりあることで、胃はおへそよりも上に位置しているんですね。
でも、痩せ型の人は脂肪が少ないです。また、女性の場合はさらに筋肉も少ないですよね。そうすると、胃を支えるものがないので、胃が下に垂れ下がって、胃下垂になってしまうのです。
胃下垂は痩せ型の女性に多いとされるのは、脂肪や筋肉が少ないからと考えられています。胃下垂は、痩せ体質の人がなるものなので、「胃下垂=太らない」というイメージが定着したと考えられます。
胃下垂は消化不良を起こしやすい
胃下垂の人が太らない原因の2つ目は、消化不良を起こしやすいことです。胃下垂は胃が下に垂れ下がっています。胃が下に垂れ下がっていることは、特に病気というわけではないのですが、胃の下には腸がありますよね。
胃が本来の位置よりも下に垂れてきているということは、腸のスペースが胃にとられてしまって、腸が上から圧迫されている状態になります。
圧迫された腸は、本来の働きをすることができなくなりますので、食べたものをきちんと消化・吸収することができず、消化不良を起こして、食べたものがそのまま排泄されるようになります。
食べたものを消化・吸収することができなければ、いくら食べても太りませんので、胃下垂の人は太りにくいとされているんです。
胃下垂になればダイエットできるのは間違い!
「胃下垂の人は痩せている!それなら私も胃下垂になれば、簡単にダイエットできるんじゃないの?」と思っている人も多いと思います。胃下垂に憧れている女性は多いですよね。
でも、胃下垂になればダイエットできるというのは大間違いなんです。
胃下垂は自発的になれるものではない
「胃下垂になれば太らない。」、これは確かにそのような傾向があります。胃下垂の人は痩せていることが多いですから。
でも、胃下垂はなりたいと思ってなれるわけではありません。胃下垂になりたいからと言って、胃の場所を下げることなんて、そんな簡単にできないのです。
胃下垂になるためには、お腹の脂肪や筋肉を減らす必要があります。胃下垂になるために、お腹の脂肪を減らしたら、胃下垂になるためにダイエットをしているようなものですよね。
それに、お腹の脂肪を減らしたら、確実に胃下垂になれるというわけではありません。また、胃下垂になる原因の1つに、胃の働きの低下があります。
胃の働きが低下すると、胃の動きが鈍くなり、食べたものが長時間胃の中に留まり続けるので、その重みで胃が下に垂れ下がってくることがあります。
胃の働きが低下する要因には、次のようなものがあります。
・消化の悪いものを食べる
・冷たいものを食べる
・ストレスなどで自律神経のバランスが乱れる
胃下垂になるためには、お腹の脂肪や筋肉の量を減らし、さらに胃の働きを低下させる必要があります。自分の意思で、胃下垂になるのが難しいことがわかったでしょうか?
胃下垂になるための努力をするくらいなら、自分でダイエットしたほうが簡単でお手軽ですよね。そして、健康的に痩せることができます。
そのため、ダイエットをするために胃下垂になろうとするのは、間違いなんです!
胃下垂はデメリットがたくさんある
胃下垂になってダイエットをしようとするのは間違いである理由の2つ目は、胃下垂にはデメリットがたくさんあることです。
「胃下垂=太らない、痩せられる」というイメージを持っている人が多いと思いますが、デメリットもたくさんあるんです。デメリットを知れば、「胃下垂はならないほうが良いかも」と思えるはずです。
■便秘になる
胃下垂は便秘になりやすくなります。胃下垂の人は、胃で腸を圧迫して、腸の動きを悪くしてしまいます。そうすると、便秘になりやすくなるんです。また、胃下垂の人は、もともとおなかの筋力が弱いですので、腸を動かす筋力がありません。
きちんと消化吸収されないのに、便秘になって、便がどんどん溜まってしまうんですね。
便秘になれば、老廃物が溜まりますし、肌荒れを起こしたり、腹部膨満感や悪心などの症状が現れやすくなります。
■おなかポッコリ
胃下垂になると、お腹がポッコリ出てしまいます。胃が本来ある場所よりも下にあるのですから、下腹部がポッコリ出てしまうんですね。
下腹部がポッコリしていると、いくら痩せていても、スタイルがよく見えませんよね。
■胃もたれや胸やけ
胃下垂になると、胃腸の動きが悪くなって、胃の中に食べたものが留まったままになりますので、胃もたれが起こりやすくなります。また、胃の中に長時間食べ物が留まることで、胃酸がどんどん分泌されるようになるため、胸やけが起こることもあるんです。
そのため、胃下垂になると、食後はいつも胃もたれや胸やけ、ゲップ、胃痛などの症状が出てしまいます。
胃下垂の人は、便秘になりやすい、お腹がポッコリしてしまう、胃もたれや胸やけが起こりやすいという3つの症状が出やすいのです。
このような症状が出ても、あなたはまだ胃下垂になりたいと思いますか?胃下垂の人や痩せている人が多いですが、胃下垂ならではの悩みもたくさん抱えているんです。
ダイエットは健康的に!
「胃下垂になると太らないから!」という理由で、胃下垂に憧れる人もいると思います。
でも、自らの意思で胃下垂になることはできませんし、たとえ胃下垂になったとしても、太らないというメリットよりも、デメリットの方がたくさんありますので、胃下垂でダイエットをしようと考えないほうが無難です。
胃下垂でダイエットをしようと考えている人は、胃下垂になろうとするのではなく、正攻法でダイエットをするようにしましょう。
正攻法でのダイエットとは、適度な運動と少しの食事制限です。いつもより少しだけ運動をして、いつもよりも少し食事量を減らす、もしくは間食しないようにすれば、自然と健康的に痩せていくはずです。
正攻法でダイエットすれば、便秘になることも、お腹がポッコリ出てしまうことも、食後に胃もたれや胸やけが起こることもなく、健康的にきれいに痩せていくことができます!
今日から胃下垂への憧れは捨てて、正攻法で地道にダイエットをしていくようにしましょう。
胃下垂についてのまとめ
・胃下垂は消化不良が起こりやすい
・胃下垂は自発的になれるものではない
・胃下垂はデメリットがたくさんある
胃下垂とはどんな状態か、胃下垂になると本当に太らないのか、胃下垂でダイエットできるのかをまとめました。
胃下垂になると、太らないことが多いですが、それ以上にデメリットがたくさんあります。しかも、自分では胃下垂になることはできませんので、胃下垂でダイエットしようと思うのはやめておいたほうが良いでしょう。
それよりも、運動と食事制限でダイエットをしたほうが確実に、しかもきれいにダイエットすることができますよ!