ダイエットをしようと思うと、「とりあえず、炭水化物を抜かなくちゃ!」と思う人は多いですよね。でも、あなたは炭水化物について正しい知識を持っていますか?炭水化物について、正しい知識を持ってから、ダイエットをするようにしましょう。
炭水化物と糖質の違いや1日の摂取量、炭水化物を摂り過ぎた場合と不足した場合の影響をまとめました。
炭水化物と糖質の違いは?
炭水化物と糖質の違いは何か知っていますか?炭水化物と糖質を同じような物と考えている人も多いのではないでしょうか?確かに、炭水化物と糖質は似ているものですが、厳密には違うのです。
農林水産省のサイトでは、次のように説明しています。
炭水化物には消化吸収されるもの(糖質)とされないもの(食物繊維)があります。
引用:炭水化物:農林水産省
つまり、炭水化物と糖質の違いは、次の式で表すことができます。
炭水化物=糖質+食物繊維
食物繊維も炭水化物の一種だったんです。ちょっと意外ですよね。
糖質は、みなさんが思っている「炭水化物」になります。ご飯やパン、麺類、イモ類、果物、砂糖などにでんぷんとして含まれているもので、体のエネルギーとして使われる栄養素なのです。
脂質もエネルギーとして使われる栄養素ですが、糖質の方が早くエネルギーに変わるという特徴があります。特に、脳は大量の糖質をエネルギーとして消費する臓器です。
食物繊維は、腸内で消化されずに、そのまま便と一緒に排泄されるものになります。そのため、エネルギーとして使われることはありませんが、食物繊維は腸内をきれいにして、デトックスをしてくれる働きがあります。
便秘を解消したり、善玉菌の餌となって善玉菌を増やしたりしてくれるんです。
糖質の種類
炭水化物から食物繊維を抜いたものが糖質ですが、糖質と言っても1種類ではないのです。
・単糖類=糖質の最小構成単位。ブドウ糖、果糖、ガラクトースなど。
・二糖類=単糖類が2つ結びついたもの。砂糖(ショ糖)、乳頭、麦芽糖など。
・多糖類=単糖類がたくさん結びついたもの。でんぷん、オリゴ糖、グリコーゲンなど。
単糖類のブドウ糖は、最も吸収されやすく、すぐにエネルギーに変わりやすいという特徴がありますが、同時に血糖値が急上昇するという特徴があります。
果糖も単糖類の1つで、果物に含まれている糖質です。同じ単糖類でもブドウ糖とは代謝経路が違いますので、血糖値が急上昇しにくく、緩やかに上昇するという特徴がありますので、血糖値が気になる人におすすめの糖質になります。
食物繊維の種類
炭水化物から糖質を除いたものが食物繊維ですが、食物繊維にも種類があります。
■不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は、水に溶けないタイプの食物繊維ですが、水分を吸収する特徴があります。水分を吸収して膨張しますので、満腹感を得やすいですし、便の嵩を増やして、腸の蠕動運動を活性化し、便秘を解消する作用があります。
不溶性食物繊維は穀類や豆類、野菜に多く含まれています。
■水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、水に溶けるタイプの食物繊維です。不溶性食物繊維は、「繊維質」であるのに比べて、水溶性食物繊維はサラサラ&ネバネバしていることが特徴です。
水溶性食物繊維は便の水分を多くして、便を軟らかくすることで、便秘を解消し、糖質の吸収を穏やかにする作用があります。
水溶性食物繊維は海藻類やこんにゃく、果物、サトイモなどに多く含まれています。
炭水化物の1日の摂取量
炭水化物は1日にどのくらい摂取すれば良いのでしょうか?厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、炭水化物は1日の総摂取エネルギーの50~65%を摂取すべきであるとしています。
1日の摂取エネルギーは性別や年齢、運動量などによって変わってきますので、「炭水化物は1日に○kcalを摂りましょう!」とは言えませんが、健康のためには摂取カロリーの半分は炭水化物からカロリーを摂るようにすると良いでしょう。
摂取カロリーの目安は男性は1日2000~2500kcal、女性は1800~2000kcalですので、男性は1000~1500kcalを、女性は900~1300kcalは炭水化物からカロリーを摂取する必要があります。
参考までに、代表的な炭水化物のカロリーをご紹介します。
・白米1膳=269kcal
・パスタ1人前=378kcal(ソースなし)
・食パン1枚(6枚切り)=177kcal
・うどん1人前=242kcal(つゆなし)
・そば1人前=296kcal(つゆなし)
これを参考にして、1日の炭水化物の摂取量を決めると良いでしょう。ちなみに、炭水化物は砂糖も含まれます。ジュース類を飲んでいる人は、いつの間にか炭水化物オーバーになっていることがありますので、気をつけましょう。
炭水化物を摂りすぎるとどうなる?
炭水化物は1日の摂取カロリーの50~65%を摂るべきですが、もし炭水化物を摂りすぎると、どうなるでしょうか?
炭水化物を摂りすぎると、ずばり太ります。カロリーオーバーになりますので、余ったエネルギーは脂肪として蓄えられるのです。
糖質(炭水化物)を摂取すると、血糖値が上がります。血糖値が上がると、インスリンが分泌されて、血糖値が下がります。なぜ、血糖値が下がるのかというと、インスリンが血液中の糖と結びつくことで、脂肪細胞に中性脂肪として取り込まれるからです。
そのため、炭水化物を摂りすぎると、太ってしまうんです。また、血糖値が上がりますので、糖尿病にもなりやすくなりますよね。
さらに、炭水化物の摂り過ぎは、老化を招いて万病の元になります。糖質はタンパク質と結びついて、AGE(終末糖化産物)という物質を作り出すのです。このAGEは肌や骨の老化を招きますし、動脈硬化の原因となって脳卒中や心筋梗塞の原因となるのです。
炭水化物を制限するとどうなる?
炭水化物を摂りすぎると、肥満や糖尿病、動脈硬化を引き起こしますが、炭水化物を制限するとどうなるのでしょうか?1日の炭水化物の摂取量は総エネルギーの50~65%が最適とされていますが、50%以下に制限すると、一体どのような影響が出てくるのでしょう?
炭水化物を制限してダイエットをしようと考えている人は、炭水化物を制限するとどうなるかを知っておきましょう。
エネルギー不足になりやすい
炭水化物を制限すると、エネルギー不足になりやすいので注意が必要です。炭水化物(糖質)は体内で素早くエネルギーに変わってくれる栄養素です。また、脳は糖質を大量に消費して働く臓器です。
そのため、炭水化物が不足すると、体はエネルギー不足になって、疲れやすくなります。また、脳もエネルギー不足になりますので、きちんと働くことができず、ボーっとしてしまったり、集中力を保てなくなったり、認知力・判断力・記憶力等が低下してしまうんです。
リバウンドしやすい
リバウンドしやすいことも、炭水化物を制限した時の影響になります。炭水化物を制限してダイエットする人は多いですよね。「炭水化物制限ダイエット」や「糖質制限ダイエット」、「糖質オフダイエット」などは、ダイエット効果が高いとされています。
確かに、炭水化物(糖質)を制限すると、それだけカロリーをセーブできますし、血糖値が上がらずに、血糖値+インスリン→中性脂肪という流れがなくなりますので、ダイエットをすることができます。
でも、先ほども説明しましたが、炭水化物を制限すると、エネルギー不足に陥りやすいのです。そうすると、脳は「エネルギーが足りない!エネルギーを蓄えておかなくては!」と思って、体の基礎代謝を落として、できるだけエネルギーを脂肪として蓄積しようとするのです。
基礎代謝が落ちると、消費カロリーが減ってしまいます。そのため、炭水化物を制限してダイエットをすると、ダイエットを止めた後にリバウンドしやすくなってしまいます。
炭水化物を制限してダイエットをする人は、このリバウンドしやすいというリスクがあることを知っておかなくてはいけません。
炭水化物と糖質の違い・1日の摂取量・摂りすぎた時と制限した時のまとめ
・炭水化物の1日の摂取量「男性:1000~1500kcal」「女性:900~1300kcal」
・炭水化物を摂りすぎる「太る」「老化を招く」
・炭水化物を制限する
「エネルギー不足になる」「リバウンドしやすい」
炭水化物と糖質の違いや1日の摂取量、炭水化物を摂り過ぎた時と制限した時の身体への影響をまとめました。
炭水化物は糖質+食物繊維からなる栄養素で、健康維持のためには必要な栄養素になります。ただ、摂り過ぎも良くありませんし、制限し過ぎも良くありませんので、1日の摂取カロリーの50~65%を目安にして、炭水化物を上手に摂取していくようにしましょう。