ダイエットを成功させるには、摂取エネルギーと消費エネルギーを把握しなければいけません。また、ダイエット中は摂取エネルギーを管理しておかないと、痩せにくい身体になってしまうこともあるのです。
ダイエット中の摂取エネルギーの目安や消費エネルギーの計算方法をまとめました。
消費エネルギー>摂取エネルギーの原則
ダイエットを成功させるためには、消費エネルギーが摂取エネルギーを上回るようにしなければいけません。
そのため、ダイエット中は消費エネルギーと摂取エネルギーをきちんと把握しておく必要があるんです。
ダイエットしてるのに、なぜかうまくいかない、なかなか痩せないという人は消費エネルギーと摂取エネルギーを正しく計算できていない可能性があります。
ダイエットを成功させるためには、次の大原則を守らなくてはいけません。
<ダイエットの大原則>
消費エネルギー>摂取エネルギー
消費エネルギーが上回れば、体重は落ちます。でも、摂取エネルギーが上回ると、体重は増えるんです。
1kg痩せるためには、約7000kcalを消費しなくてはいけません。5kg痩せたい人は3万5000kcalです。
果てしなく遠い数字に思えますよね。でも、消費エネルギーと摂取カロリーを正しく把握して、計画的にダイエットを進めていけば、無理なダイエットをしなくても、着実に体重を落としていくことができます。
摂取エネルギーの目安は基礎代謝量
ダイエット中は、どのくらいのエネルギーを摂取すれば良いのか迷ってしまうと思います。できるだけ早く痩せたいと思って、食事を大幅に制限してしまう人も多いのではないでしょうか?
でも、無理な食事制限をしてダイエットをすると、「食べたいのに、食べられない」というストレスに負けてしまって、ダイエットを挫折する可能性が高くなります。
また、無理な食事制限は痩せにくい身体を作ってしまうんです。消費エネルギーは、次の3種類に分けられます。
・基礎代謝=生命維持のため使われるエネルギー
・食事誘発性熱代謝=食事をしたことによる消費エネルギー
・生活活動代謝=日常生活内で消費するエネルギー
この中で重要なのが基礎代謝です。基礎代謝は呼吸をしたり、体温を維持したり、心臓を動かしたりするためのエネルギーで、私たちがただ生きているだけで自然に消費されていくエネルギーです。
基礎代謝は、生きていく上で最低限必要なエネルギーと言い換えることができます。もし、無理な食事制限をして、摂取エネルギーが基礎代謝を下回ってしまったらどうなるでしょう?
身体は危機感を覚えます。なぜなら、生きていくために必要なエネルギーが供給されないのですから。生命の危機に瀕しているといっても良いでしょう。
そうすると、脳は「このままでは死んでしまう。消費エネルギーを抑えなければ!」と考えて、身体の基礎代謝を下げて、脂肪を溜めこむようになります。
消費エネルギーが少なくなって、さらに体に脂肪を溜めこむようになるのですから、痩せにくく太りやすい身体になってしまうのです。
ですから、ダイエット中は食事制限をする場合でも、基礎代謝以上の摂取エネルギーは確保しなければいけません。
そうしないと、「辛い食事制限をしているのに痩せない、さらに食事制限をする。でも痩せない。ストレスが溜まってドカ食いをする。そして太る。」という状態になってしまうのです。
ダイエット中でも、基礎代謝分のエネルギーはきちんと摂取する。これは必ず守りましょう。
基礎代謝量の計算方法は?
ダイエット中の摂取エネルギーの目安は、基礎代謝であることを説明しましたが、基礎代謝ってどのくらいあるのでしょうか?基礎代謝量は1人1人違います。年齢や性別、体重によって異なるんです。
基礎代謝量の計算方法の代表的なものは2つあります。まずは厚生労働省の基礎代謝量の計算方法をご紹介します。
■厚生労働省の基礎代謝量の計算方法
基礎代謝量(kcal)=基礎代謝基準値×体重(kg)
基礎代謝基準値は、次の通りです。
年齢 | 男性 | 女性 |
15~17歳 | 27.0 | 25.3 |
18~29歳 | 24.0 | 23.6 |
30~49歳 | 22.3 | 21.7 |
50~69歳 | 21.5 | 20.8 |
70歳以上 | 21.5 | 20.7 |
【20歳男性、体重70kgの場合】
基礎代謝量は24.0×70=1680kcal
【30歳女性、体重55kgの場合】
基礎代謝量は21.7×55=1193.5kcal
これが基礎代謝量になりますので、自分の基礎代謝量を求めてみましょう。ただ、厳密な基礎代謝量は筋肉量などによって異なりますので、この計算で求められる基礎代謝量は目安として考えてください。
■ハリス・ベネディクト式の基礎代謝量の計算方法
基礎代謝量はハリス・ベネディクト式という方法でも計算することができます。
・男性 基礎代謝量=66.47+13.75W+5.0H-6.76A
・女性 基礎代謝量=655.1+9.56W+1.85H-4.68A
(W=体重(kg)、H=身長(cm)、A=年齢
ちょっと複雑な計算式になりますが、身長を考慮することで、より正確な基礎代謝量を計算することができるとされています。
摂取エネルギーを減らすのではなく、消費カロリーを増やす!
ダイエットを成功させるには、ダイエットの大原則である「消費エネルギー>摂取エネルギー」を守らなければいけません。
消費エネルギーと摂取エネルギーの差が大きければ大きいほど、体重は落ちやすくなりますが、摂取エネルギーを減らしすぎてしまうと、痩せにくく太りやすい身体になってしまいます。
そのため、摂取エネルギーは基礎代謝分は最低でも確保しなければいけません。では、どうやって効率よくダイエットをすれば良いのでしょうか?
そうです!消費カロリーを増やすのです。消費カロリーを増やすには、激しい運動が必要と思うかもしれませんが、そんなことはありません。消費カロリーを手軽に増やす方法はあります。
消費カロリーの計算方法
まずは、消費カロリーの計算方法を知っておきましょう。ここでは、先ほど説明した3つの消費カロリーの中の生活活動代謝の計算方法をご紹介しますね。
生活活動代謝の消費カロリーを計算するには、METsを知る必要があります。METsとは「Metabolic Equivalents」の略で、安静時の消費カロリーを1とした場合、生活の中の活動や運動はどのくらいの消費カロリーなるかを表した指標です。
METs | 日常生活での活動 | 運動 |
0.9 | 睡眠 |
|
1.0 | テレビ鑑賞、音楽鑑賞 |
|
1.5 | 座って会話、電話、読書、運転、オフィスワーク |
|
2.0 | ゆっくりした歩行、料理、洗濯、子供を抱っこしながら立つ |
|
2.3 | 洗濯ものの片付け、動物の世話 | ストレッチ |
2.5 | 子供の世話 | ヨガ、ビリヤード |
3.0 | 歩行、電動アシスト自転車に乗る、台所の手伝い | ボーリング、バレーボール |
3.5 | ほどほどの速さの歩行、軽いサイクリング、階段を降りる、風呂掃除 | 釣り、ゴルフ、体操 |
4.0 | サイクリング、階段を上る | ラジオ体操、卓球 |
5.0 | 早歩き | 野球、ソフトボール |
6.0 |
| ゆっくりジョギング、ゆっくり水泳 |
7.0 |
| ジョギング、サッカー |
出典:国立健康・栄養研究所 改訂版 『身体活動のメッツ(METs)表』
こちらが代表的な活動や運動のMETsになります。では、これを基にして、消費エネルギーを計算してみましょう。
この計算式を用います。
体重60kgの人がサイクリングを1時間した時の消費エネルギーは、1.05×4.0×1×60=252kcalとなります。
60kgの人が1時間安静にした時の消費エネルギーは63kcalですので、サイクリングという活動をしたことで、252-63=189kcalも消費できたということになります。
消費カロリーの増やし方
ダイエットを成功させるには、消費カロリーを増やすことが大切ですが、消費カロリーを増やすためには、METs値が高いものを選んで、長時間運動する必要があります。
でも、辛い運動を長時間やると、すぐに挫折しますよね。それなら、手軽に長期間続けられる方法で、消費カロリーを増やすようにしましょう。
・家事を頑張る
・子供と精一杯遊ぶ
・通勤は少し遠回りをする
・毎朝ラジオ体操を全力でやる
この程度なら、毎日続けられるのではないでしょうか?METs値の表をご覧になって気づいたかもしれませんが、家事や育児って想像以上にMETs値が高いので、日常生活内でも消費カロリーを増やすことができるんです。
また、タンパク質中心の食事をすることでも、消費カロリーを増やすことができます。3つの消費カロリーの中に、食事誘発性熱代謝があります。タンパク質はこの食事誘発性熱代謝が多いんです。
たんぱく質のみを摂取したときは摂取エネルギーの約30%、糖質のみの場合は約6%、脂質のみの場合は約4%で、通常の食事はこれらの混合なので約10%程度になります。
タンパク質中心の食事を摂れば、自然と消費カロリーがアップするというわけです。タンパク質はカロリーが高そうと思うかもしれませんが、それは誤解です。
これらは三大栄養素と呼ばれ、それぞれ体の中で1gあたり、たんぱく質4kcal、脂質9kcal、炭水化物4kcalのエネルギーになります。
タンパク質は炭水化物と同じカロリーなんです。ですから、タンパク質中心の食事にしても、カロリーが増えることはありません。
ただ、調理で油をたくさん使ったりすれば、カロリーは上がりますし、いくらタンパク質が良いからといって、それだけを食べていると、栄養が偏りますのでNGです。
調理法は工夫して、さらに栄養のバランスを考えた上で、タンパク質を多めにとると良いでしょう。
ダイエット中の摂取エネルギーと消費エネルギーについてのまとめ
・消費カロリーを増やすことでダイエットが成功しやすくなる
ダイエット中の摂取エネルギーの目安と消費エネルギーの計算方法をまとめました。
ダイエットの大原則は、消費エネルギー>摂取エネルギーですが、摂取エネルギーが基礎代謝を下回ると、痩せにくい身体になりますので、摂取エネルギーを減らすのではなく、消費カロリーを増やすようにしましょう。
摂取エネルギーと消費エネルギーをきちんと計算しておけば、間違いなく着実に痩せることができますよ。