ベンチプレスとは？

ベンチプレスとは、ベンチに仰向けに横たわった状態で、バーベルを胸の上におろし、そこから胸の上にバーベルを押し挙げる筋トレ方法です。

もともとは、大胸筋、三角筋前部、上腕三頭筋などの上半身を強化するための筋トレ方法でしたが、どのくらいの重さのバーベルを挙げられるかを競う競技としても人気があります。

競技としてのベンチプレスを普及・発展させるために、国際パワーリフティング連盟（IPF）とその傘下の各国のパワーリフティング連盟があり、日本パワーリフティング連盟もあります。

パワーリフティングは、ベンチプレスのほかに、スクワット（立位でバーベルを肩にかついで、しゃがんでから立ち上がる）とデッドリフト（床に置いたバーベルを引き上げる）の3つ種目の合計で競うものと、ベンチプレスだけを行うシングルベンチプレスの2つがあります。

ノーギアとフルギア

ベンチプレスの競技を行う時には、ノーギアとフルギアの2つの部門に分かれます。ノーギアとフルギアの違いは、ベンチシャツを着用するかどうかです。

ベンチシャツは、高い反発力・収縮性を持っている特殊な生地で作られているので、ベンチシャツを着用しない場合（ノーギア）に比べると、持ち上げられるバーベルは格段に重くなります。

そのため、ベンチプレスはノーギア部門とフルギア部門に分けて行われることが一般的です。

ベンチプレスは細かいルールがある

競技としてのベンチプレスは、ルールが細かく設定されています。

＜ベンチプレスの試技の流れ＞

1．ベンチに仰向けになる

2．バーベルをラックから外す

3．バーベルを胸につける

4．バーベルを押し挙げる

5．バーベルをラックに戻す

競技としての試技の流れは単純です。主審の合図に従って行えばOKです。ただ、判定の基準はとても厳しいです。

競技中にこのようなことがあると、競技失敗とみなされて、記録なしになります。

2000年代にはこのベンチプレスのルールがたびたび改定されました。というのも、日本人が強ぎたからと言われています

以前は日本人はベンチプレスの世界大会では常勝軍団でした。日本人はベンチプレスのテクニックを持っていて、体格で劣っていてもテクニックで重いバーベルを挙げることができましたし、日本人は欧米人に比べて腕が短いので、挙げる距離が短くて済むので、有利とされていたのです。

それによって、ルール改正が行われるようになったのです。ただ、2010年以降はルール改正も落ち着いています。

ベンチプレスのIPF公認の日本記録＆世界記録

では、ベンチプレスの日本記録と世界記録をご紹介します。まずは、日本パワーリフティング連盟と国際パワーリフティング連盟が公認しているベンチプレスの日本記録と世界記録をご紹介します。

ベンチプレスの大会は、男女別、さらに体重別の階級に分かれて行われます。

そのため、性別＆階級別に日本記録と世界記録はあるのですが、ここでは階級に関係なく、とにかく一番重いバーベルを挙げた日本記録と世界記録をご紹介します。

これらの記録は、もちろんベンチシャツありのフルギア（Equipped）での記録になります。

JPF公認の日本記録

まずは、日本パワーリフティング連盟公認の日本記録をご紹介します。

■男性の日本記録

JPF公認の日本記録は120kg超の藤本竜希選手です。平成28年に弱冠16歳で、370kgの日本記録を打ち立てました。

120kg超級 藤本 竜希選手高校 SJr Ｊｒ 一般 日本新記録フルギアBP370kg pic.twitter.com/R3m8xwtNIZ

— bukiya.net staff (@ONIbukiya) July 10, 2016

藤本選手の体重は137kgとのことですので、体重の2.5倍以上のバーベルを持ち上げたことになります。

藤本選手がすごいのは、サブジュニア（14～19歳）の年齢で日本記録を打ち立てたことです。

ちなみに、藤本選手はシングルベンチプレスでこの記録を打ち立てています。

■女性の日本記録

女性の日本記録は、72kg以下級の水野綾乃選手が178.5kgという記録を持っています。女性の一番重い階級は84kg超級ですが、日本では72kg以下級の選手が日本記録を持っているのです。

公認の世界記録

次は、国際パワーリフティング連盟公認のベンチプレスの世界記録をご紹介します。世界記録はすごいですよ！

■男性の世界記録

IPF公認の男性の世界記録は、410kgです。これは、120kg超級のアメリカのサムナーブレイン選手が持っている記録です。2017年3月4日に記録しています。

このサムナーブレインのすごいところは、ベンチプレスだけを行うシングルベンチプレスではなく、ベンチプレスとスクワット、デッドリフトの3種目の合計で競うパワーリフティング内のベンチプレスで410kgの世界記録を打ち立てたことです。

ベンチプレスを専門にせず、スクワットとデッドリフトもやりつつ、ベンチプレスで世界記録を出すのは、本当にすごいと思いませんか？もちろん、IPF公認記録なので、ドーピングもなしの記録です。

■女性の世界記録

次に、国際パワーリフティング連盟（IPF）公認の女性のベンチプレス世界記録をご紹介します。

女性の世界記録はロン・サンドラ選手の235.0kgです。ロン・サンドラ選手はスウェーデンの選手で、84kg超級の階級になります。235.0kgの記録は、2015年5月に樹立しています。

ベンチプレスの本当の世界記録（IPF非公認）

ベンチプレスの日本記録と世界記録をご紹介しましたが、ご紹介した世界記録は国際パワーリフティング連盟（IPF）が公認している記録で、IPFのホームページに記載があるものです。

IPFの大会はルールが厳格ですし、ドーピング検査などもしっかり行っているという特徴があります。

でも、IPFが公認していない記録もあるんです。ベンチプレスの世界ではIPFがすべてではないということかもしれません。

そして、IPFが公認していない記録は、IPF公認の記録よりもすごい記録が出ているんです。ベンチプレスの本当（？）の世界記録をご紹介しますね。

第1位　ポールタイニーミーカー（Paul Tiny Meeker）

2017年9月時点での、ベンチプレスの世界記録保持者は、ポールタイニーミーカーです。彼は、なんと500kgのバーベルを持ち挙げることに成功しています。

500kgですよ？500kg？0.5トン！それを仰向けの状態で持ち上げるなんて、正気の沙汰ではありません。

500kgを持ち挙げて世界記録を作った時の様子はこちらです。

人類で、ベンチプレスで500kgを挙げられるのは、彼1人しかいません。

第2位　ライアンケネリー（Ryan Kennelly）

ベンチプレスの世界記録、第2位はライアンケネリーです。ライアンケネリーは、国際パワーリフティング連盟ではなく、世界パワーリフティング組織（WPO）で活動していました。

ライアンケネリーは2008年に487.6kgのバーベルを押し挙げて、当時の世界記録を樹立しています。

ベンチプレスの大会では、あまりにも力を入れてしまって、目の毛細血管が切れてしまい、目から流血したという経験もあるそうです。

さすがは、「ベンチモンスター」という異名を持つだけのことはありますね。ただ、彼は2013年にインドから筋肉増強剤のアナボリックステロイドを輸入した罪で、30ヶ月の懲役刑を言い渡されています。

第3位　スコットメンデルソン（Scot Mendelson）

世界記録の第3位は、スコットメンデルソンです。スコットメンデルソンはアメリカの選手で、第2位のライアンケネリーが世界記録を樹立するまでの世界記録保持者でした。

スコットメンデルソンの記録は、467.5kg（2008年）です。

ベンチプレスの基礎知識と日本記録・世界記録についてのまとめ

ベンチプレスの基礎知識と日本記録・世界記録をまとめました。ベンチプレスの日本記録や世界記録を見ていると、感覚がマヒしてしまいますが、初心者の日本人女性は20kg、男性は35～40kgが平均と言われています。

この平均値を見ると、いかに日本記録＆世界記録ホルダーがすごいかがわかりますよね。筋トレのためにベンチプレスをする時には、まずは正しいフォームで行うことを意識して、少しずつ重いものを挙げられるようにしていきましょう。